麻福ヘンプペーパーの紹介
紙の原料は、現在では木材が主流です。
世界的に木材の減少が危惧される中、木材に比べて単位面積(たとえば、1ヘクタール)あたり4倍の繊維生産量を誇る1年草のヘンプを紙の原料にて用いることで、過剰な森林伐採を抑え、人と自然が共生できる社会実現に貢献できます。
このヘンプペーパーを通じて、そんな世の中の実現を考えるきっかけになれば幸いです。
ヘンプを使った紙の歴史は古く、人類最古の紙の原料はヘンプでした。現在の紙の紀元前105年、中国後漢の蔡倫が書写を用途として発明した紙はヘンプ繊維を使っていました。その後、日本でも奈良時代の正倉院文書にも使われたように、世界中でヘンプペーパーは使われてきました。
古より人類で利用してきたのはヘンプペーパーであり、そんな歴史を振り返るきっかけにもしつつ、日本人が古来より親しんだ麻の文化の復興にも貢献できれば、と願ってなりません。
麻福ヘンプペーパーの意義
麻福ヘンプペーパーの存在意義(想い)を以下のとおり整理しました。
- 木材パルプの使用を抑制し木材伐採を減少させる。
- 森林伐採が減少すれば、森林により二酸化炭素を恒久的に固定することが可能。
- 非木材用紙の潜在需要を掘り起こし、市場拡大に貢献。
- 企業のCSR活動の支援。先進性のアピール、環境意識向上のきっかけに。
- ヘンプ繊維の特性を活かした新しい紙商品の創出。
- 日本人が古来より親しんでいた麻の文化復興。
- 大規模栽培、大規模生産への足かかり。
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「麻福 ヘンプペーパー」の特徴
用紙特性
木材に比べて繊維長が長く、引張強度が強い。また、木材に比べてリグニン(黄ばみ、劣化の原因となる)が少ない。このため、通常に使用される木材紙に比べて、長期にわたって黄ばみなく保存可能。
木材に比べて繊維長が長く強靭なため、何回もリサイクル可能。木材パルプの補強材として5~10%混ぜるだけで、リサイクル可能な回数が2倍以上(3回⇒7回以上)に増える結果もある。
栽培
100~120日で3~4m成長する1年草。アカマツなどの針葉樹に比べて4倍以上のパルプ生産性がある。
世界中のどこでも栽培可能。(ツンドラ、砂漠、氷雪原以外)
野菜・果物との輪作ができる。
栽培することで土壌改良にも貢献できる。
栽培時に農薬および化学肥料を必要としない。
※ヘンプ入門もご覧ください。
パルプ製造
いま一般的に使われている紙はつくられる紙は、パルプ化の工程でリグニン(紙を黄色に変色させ、弱くする成分)を除去するために、加熱し、大量の化学薬品と水を使っています。
麻福では、優良パルプ普及協会(埼玉県)と連携をとり、加熱と薬品を用いずに、石臼の原理を利用した非加熱・無薬品のパルプ化機械を用いて製造しています。
非加熱・無薬品パルプ装置「紙造くん」の特徴
蒸解工程がないために加熱の必要がなく、エネルギー消費量が少ない。
蒸解工程及び洗浄・漂白工程で使う薬品を必要としな各工程からの薬品の廃液処理を必要としないため、環境負荷が少ない。
トレーサビリティ
当社が直接ヘンプ産地より調達した原料をパルプ工場に持ちこみました。ひと昔前に問題となったような偽装の心配はございません。
グリーン購入法対象商品
麻福ヘンプペーパーは、「グリーン購入法」の適合商品です。

麻福ヘンプペーパーは、「エコ商品ネット(https://www.gpn-eco.net/)」にて仕様及び環境情報が公開されています。
2001年4月施行のグリーン購入法設立以来、購入の必要性を十分に考慮し、品質や価格だけでなく環境の事を考え、環境負荷ができるだけ小さい製品やサービスを、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入することが推奨されています。
グリーン購入法が2010年4月より厳しく改正されます
環境省のグリーン購入法が2010年4月より改正されます。
いままでは コピー用紙だけが「総合評価指標方式」の対象でしたが、今後は印刷用紙にも適用されるようになります。
しかも、総合評価値計算が必須となり、80以上でないとグリーン購入法の不適合商品となります。
「麻福ヘンプペーパー」は総合評価値が90点。(”エコ商品ネット”サイト上ではデータベース反映待ち)
ぜひ、脱化石燃料の象徴であるヘンプに注目して先進的なアピールに!
■ 環境省のおススメの環境調達製品の印刷用紙で「麻福ヘンプペーパー」が推奨されました。
分類名 |
銘柄名 |
事業者名 |
古紙パルプ配合率(%) |
白色度(%) |
塗工量(g) |
印刷用紙 特殊紙 |
無薬品・非加熱パルプの紙・非木材シリーズ (バナナ、とうきび、ヘンプ) |
有料パルプ
普及協会 |
75 |
65 |
0 |
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ヘンプペーパーの歴史 ~世界最古の紙、ヘンプペーパー~
ヘンプペーパーの歴史は人類の歴史。世界中で使用されてきた事例をご紹介します。
中国で出土した西漢紙として、放馬灘紙が有名であるが、これは、現存する紙のうち最も古く、西漢(前漢)の文帝・景帝(紀元前180~141年)のものであるが、ヘンプが利用されていたことが分かっている。断片とはいえ、2100年以上も悪条件の中で残った抵抗性は、驚くべきといえよう。
紀元前105年、中国後漢の蔡倫が書写を用途とした紙を発明。使い古した麻の布、麻頭、弊布、魚網(いずれもヘンプが原料)を材料に利用。その後、中国では写本を中心にヘンプが利用される。
敦煌石室写経紙(399~960年)に及ぶ23種類の資料について、大部分はヘンプが使われており、こちらもすでに1000~1600年の保存に耐えていたことが分かる。
新疆出土紙では、李柏の手紙の下書きである「李柏文書(328年)」が、1909年に大谷探検隊によって発見されたが、これもヘンプが使われていた。そのほか、大量の古代紙が新疆地区の各所で発掘されており、いずれも3~9世紀にまたがるものであったが、いずれもヘンプが用いられていた。
我が国が世界に誇り得る奈良時代(8世紀)の正倉院文書もヘンプを使用。
奈良朝仏教の3大偉業のひとつ百萬塔陀羅尼(770年に完成)にもヘンプが利用されていた。
エジプトで1877~1879年に大量に出土された古文書をライネル・コレクションと称されているが、そのうち8~10世紀のアラブの古代紙はヘンプが原料であった。
蔡倫の製紙方式は、長い年月をかけてシルクロードを伝わった。
イタリアで最初の製紙一大中心地となったファブリアノでの現存する最古の文書は1283年当時のものだが、これもヘンプが原料であった。
活版印刷発祥の地とされるドイツに製紙業を紹介したのはファブリアノの紙すき工であったが、1450年、活版印刷が発明された頃の紙もヘンプが利用されていた。
同時代(15世紀)より、コロンブスの時代から1900年代まで、船上の地図や図表などの資料、聖書などもヘンプ繊維が入った紙が利用された。グーデンベルクの最初の聖書、アメリカ合衆国の独立宣言など。
日本では、平安時代以降、製造に手間がかかる等の理由から楮が中心となってしまったが、1926年、初代岩野平三郎(福井県)にて麻紙が復活。これが現在の「雪肌麻紙」につながり、それ以前の時代になかった絵具を厚く塗り重ねるといった表現ができるようになり、横山大観や、近年では平山郁夫なども好んで用いて、新たな日本がの表現の可能性を広げた。
旧ソ連のルーブル紙幣。ユーロ紙幣の一部にもヘンプパルプは利用されている。
現在は、ヨーロッパにて、たばこ巻紙用の用途を中心に生産されている程度。 |
以上のとおり、人類最初の紙、最初の活版文書、最初の書籍など、ヘンプペーパーは人類の歴史で利用されてきました。
生産可能な仕様(受注生産)
ご要望に合った目付け、混率の紙を小ロットで生産できます。
目付け : 150g/㎡まで
ヘンプ混率 : 25% ~ 100%
※ヘンプ原料の最小ロットは 200kg~です。
※ロットの中で、複数の目付けを生産することも可能です。